
2022年に OpenAI が発表した対話型の「ChatGPT」は、全世界から高い関心を集め、わずか数年で大きな進化を遂げました。まるで人間と話しているかのように自然な文章を作ったり、画像、映像を生成することができるようなり、AIは私たちの生活をますます便利にしてくれる可能性を秘めています。望むと望まざるとにかかわらず、これからの時代、子どもたちは、AIと共に学び、働き、生活していくことになるでしょう。
しかし、AIが示す答えが常に正しいとは限りません。時には、間違った情報や偏った考え方が含まれている可能性もあります。だからこそ、これからの時代を生きる子どもたちには、AIから得た情報や提案を鵜呑みにするのではなく、「これは本当かな?」「どうしてそう言えるのだろう?」と「問い」をたて、確かめる力が不可欠になります。AIにはできない、問いを深め、新しい視点から物事を捉え、より良い未来を創造していく力。その力を育むことこそ、これからの教育が担うべき大切な役割だと、私たちは考えています。
私たちの学校では、平成15年の開校以来、「未来を生きる子どもたちのために」をテーマに教育改革に取り組んできました。
小学校は、子どもたちが「新しい自分」と出会い、無限の可能性を広げる場所です。友達や先生との出会い、発見に満ちた授業、心躍る学校行事。これらすべてが、子どもたちの学びを豊かにし、「対話」を通じて互いを理解し、「創造」する力を育む土壌となります。
本年度、本校は「問いから共創へ」をテーマに掲げました。子どもたちの知的好奇心、「なぜ?」「どうして?」という純粋な問いを学びの出発点とし、大切に育んでまいります。自分で考え抜く力、クラスの仲間と活発に意見を交わし、多様な考え方を尊重しながら、共に最適解・納得解を創り上げていく力。そのような「児童が主体的に学ぶ」環境を、アナログとデジタルの良さを融合させながら、さらに充実させてまいります。教室の中だけでなく、時には地域や世界の人々とも繋がりながら学ぶ経験を通して、持続可能な世界を担う人に成長してほしいと願っています。
しかし、どんなに技術が進歩しても、人と人との温かい繋がり、共に学び、支え合うコミュニティの大切さは変わりません。むしろ、AIが身近になる時代だからこそ、相手の気持ちを理解する「思いやりの心」や周りの支えに気づき感謝する「感謝の気持ち」といった豊かな人間性を育む「心の教育」がこれまで以上に重要になると確信しています。一人ひとりが、いのちの尊さにめざめ、互いに認めあい、支えあい、そして、いのちが輝きあえる社会に資する子どもたちに成長できるよう全力を尽くしてまいります。